招き猫愛を語る vol.005「九谷焼 招き猫 極彩赤黒盛」

九谷焼 和座本舗の招き猫 置物 縁起物

自分史上最高に好みなデザインです。

招き猫への情熱と愛情の結晶


赤と黒を基調としてビビットな色彩に細かな紋様が所せましと描きこまれています。
インパクト強めで魅惑の美しさですが15,000円(税別)とちょっとお高めなお値段設定です。

ちまたでよく使われるフレーズを引用させて頂ければ「お値段以上の〇〇〇!」
正直、ここまで置物にこだわった絵付けをすること自体が珍しく、個人的な意見ではありますが、よほど招き猫に愛情と情熱を持たないかぎり描き切れないと思ってます。

平面への絵付と置物への絵付の違い


置物への絵付けは平面ではなく凹凸がある部分に丁寧に描きこんでいく作業の連続になります。曲面を1つのパーツととらえその1曲面、1曲面に合わせ描いていく置物の絵付けは平面を分割して描く器や花器の絵付とは作業効率が大きく違ってきます。

比較してはいけないのかもしれませんが同じ高さ同じ同幅の花瓶に絵付けするとした場合、絵付け作業自体は2倍近く時間に差が出ると考えます。アート作品の場合は完成した作品自体の価値をお値段に反映しますが一般に流通する小量産の九谷焼の置物の場合は作業時給を基に原価計算されるため、どうしても丁寧な絵付けを行えば1個単価が高くなってしまうのが事実でございます。

そんなことを話しながら今回、ご紹介の招き猫を時給換算にすると、とんでもなくコストパフォーマンスの良い作品だと言っても過言ではないと思います。
まさに情熱と愛情で描きこまれる紋様です。

九谷焼 和座本舗の招き猫 置物 縁起物


「美しい紋様を丁寧に描く」九谷焼を製作する際に最も大切なことを忠実に行うため1回の窯出しで仕上がってくる数が限りなく少なく商品として売上を作る役割を担えているかと問われれば残念ながら商売になりません。だからと言ってこれ以上お値段を高くすることは窯元の本意ではないという気持ち、それがこの作品をご紹介する意義のような気がします。

伝統工芸のスタンスを見直すきっかけに


ここ十数年で買い物スタイルが大きく変わりました。
今、欲しいに対応できる物量・流通が整備されたおかげで遠隔地であろうと希少なものであっても最短で翌日には手に入る時代となりました。

日本の伝統工芸もその恩恵を受け、近年では稀に見る伝統工芸ブームが起こり、もともと生産性の悪い伝統工芸は品薄な状態が続き、作り手は、ただただ作品を作り続けることに疲弊し始めているのが産地にいて感じます。

一時期は衰退産業と言われていた伝統工芸も本当に有難いことに近年の伝統工芸ブームで少し息を吹き替えました。ただやはり近年の需要と供給のバランスが伝統工芸のキャパを超えていることも事実です。

ここで一旦、本来の伝統工芸のスタンスを見直す意味でも今回ご紹介の招き猫のような時間をかけ丁寧に仕上げ、なおかつ納得のいくお値段でご紹介できる作品を作り続けるために作り手に時間を持たせられるような販売も考えていかなければいけないと思います。

販売本意と作りて本意のバランスを考えながら


この招き猫を製作する窯元さん多めの個数をお願いすると不機嫌になります(笑)
窯主さんの考えではたくさん売りたいわけではなく、こだわった作品を自分のペースで製作したいそんな昔ながらの窯元さんです。

正直言えば、私たち販売店泣かせの窯元さんではあります。

それでも、やっぱり良いんですよ。
私はこちらの窯元さんの作品、個人的には大好きなんです。常に品薄で再製作にかなりの時間がかかり再入荷のご希望を頂くお客様に本当に長くお待たせしてしまう作品ではありますが取り扱うことをやめられません。私が好きだから・・・という理由だけです。

販売する側にとってはあまりメリットがない作品であるのは事実ですが、もし運よく手に入れることができるお客様が1年間に数人でも多く増えて頂ければ作り手の情熱と愛情を込めた作品が報われること、そして何より私が好きな作品に共感して頂けることがあれば販売者冥利に尽きます。

九谷焼 和座本舗の招き猫 置物 縁起物


いつ売り切れるか、売り切れ後はいつ入荷するか名言できない作品でございます。ぜひ在庫があるのを見かけたらご検討頂ければ幸いです。

九谷焼専門店 和座本舗
https://www.wazahonpo.jp/

九谷焼 招き猫 極彩赤黒盛