写真のワインカップ、脚部分が金属製です。
カップ部分が硝子ではなく陶磁器なのでワイングラスではなくワインカップです。
陶磁器と金属の異素材のコラボ作品なので最近の作品だと思ってしまいますが
実は30年近く前に作られた
隠れた九谷焼の大ヒット作品です。
伝説になったワインカップ
私自身が九谷焼の業界で働き始めてから今年で20年です。なので私が働き始めた頃には既に、この作品が存在してました。
30年前に異素材を組み合わせるなんてとっても大胆な発想だったと思います。
たまたま10年前に仕事でご一緒した名古屋のデザイン会社さんから
この金属脚のワインカップ誕生の経緯を聞くことができました。
ワインカップ誕生の物語
30年前、右肩上がりの景気の中で
付加価値の高い新たな九谷焼を模索していた時に煌びやかな時代背景の中でブームとなりつつあったワインに合う九谷焼をと試行錯誤の末、完成したのがこの金属脚のワインカップだったそうです。
ワインは色が見えた方が良いという皆様にご支持を頂いている江戸硝子とのコラボワイングラス、九谷和グラスシリーズのコンセプトとは真逆で当時ワイングラスはあの細い脚の形状じゃなきゃいけないという概念があったため
その問題解決の方法として脚部分だけ金属にするという発想で解決したのがこの金属脚のワインカップなのだそうです。
まさにワインブームだからこそ生まれた名品(迷品)だと言えます(笑)
このカップ部分が陶磁器のワインカップですが
しばし「ワインの色が見えないなんてありえない」というご意見も頂きましたが今ではワインが日常にある海外の皆様に趣味の器として本当にたくさんの方々にご愛用頂いてます。
色までこだわるようなグレードの高いワインではなく素敵な仲間とワイワイ楽しく飲むワインの器として大変お喜び頂けているようです。
最後に名古屋のデザイン会社さんが言うには
「この作品の最も優れた点は陶磁器と金属脚を接合する部分の形状です」
とのことでした。
最初は何のことか解らずにいましたがこちらをご覧ください。
接合部分の金属が段々形状になっているのがご覧頂けるかと思います。
これは接合時に強度を高めるため多めに接着剤を使用しはみ出した場合でもデザインを損なわず、はみだした部分さえもデザインの一部として溶け込むような形状ということでこの形になったそうです。
先人の時代へ挑戦する気持ちが宿ったワインカップは
30年経った今でも売れ続けています。
陶磁器業界内では
伝説のワインカップ
と言われるまでになりました。
そんな伝説のワインカップはこちらです。https://www.wazahonpo.jp/SHOP/52548/52549/list.html